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「ほのぼのハウス〜スペース60」モデルハウスのご紹介


 本物件の施主であり、自ら化学物質過敏症、電磁波過敏症を発症し南会津町滝原へ07年5月に転地され療養を続けている池谷純仁さんにご協力いただいて、経緯やエピソード、実際にモデルハウスに暮らし続けながらの感想などを伺いながら「ほのぼのハウス」の紹介をさせていただきます。(聞き手:事務局長 星 聖司)

施主

施主の池谷さん。安住の地を見つけられたようです

(星)「なぜ、南会津で転地療養しようと思われたのですか?」
(池谷)「3年前にオーバーワークや外食などから電磁波と化学物質過敏症になってしまいました。横浜のマンションに住んでいましたが、家族と一緒に暮らせなくなり別居しました。当時は箱根に小さな古い温泉付きのリゾートマンションを探し、そこで玄米菜食の食養生と源泉掛け流しの温泉で湯治を徹底的に半年間して、どうにか社会復帰できるまでに回復しました。運良く幾ばくかの貯蓄があったので、今、どうにか生きのびています。」
「その後、同じ環境病の発症者達と知り合う機会が増え、みんなが安全に暮らせる転地療養地を全国各地で暮らす患者仲間の情報をもとにして探しに出かけました。北海道から九州までいろいろと回りましたが、やはり問題となるのが農薬散布と携帯アンテナでした。自然豊かに見えながら、実際には都会以上に大気や水、生活環境が汚染されている場所が多いのに驚きました。
 昨年秋に会津若松出身の患者さん一家の協力で、南会津町の湯田町長にお会いすることができ、四方山に囲まれ自然が残された環境汚染物質の極めて少ないオアシスに巡り会いました。その夜に見た鳥肌がたつくらいに美しい星空と天の川を見て、南会津への転地を決めました。」

全景写真

平面図

星)「そして今年春から私達が池谷さんの家を建て始めることになるのですが、結構たいへんでしたね(笑)。」
(池谷)「確かに(笑)。私自身も発症者ですし、環境病患者ネットワークNPOの代表や、化学物質過敏症支援センターの理事などを通して、シックハウスや脱化学物質に関する最新の知識や情報、人材などは皆さんよりたくさん知りうる機会があります。
実際にシックハウス対策や化学物質過敏症のための住宅を建てている建築家の知り合いも、伊豆に転地療養施設を建てた支援センター顧問の尾竹一男さん、町田のコーポラティブ住宅「きのかの家」を建てたアンビエックスの相根昭典さん、猪苗代にCS避難住宅を建設した佐藤清さんをはじめ数々いますが、あの方達は経験も多く、できて当たり前のレベルです。
 今、私たち発症者が必要としているのは現在の常識が非常識で危険であることを広く理解してもらう事。すなわち、法律で規制されている以上に普段一般的に使用している建材や工法、職人、ハウスメーカーが利益重視で、住む人の健康や環境を度外視した常識を変えるには、家を建てる施主側がその危険性に気づく事が優先だと思っていますので、シックハウスにならないための正しい建築知識を広く伝え、日本伝統の木造工法など安全、安心の健康住宅が建築のスタンダードとなるように、近年の工法しか知らない建築家の人たちにどんどん経験してもらいたいと思いました。ですから、南会津の地元で信頼のある工務店さんを探していたら、地元の大工さん達がNPOをつくったと聞いてお願いしたんです。」

(池谷)「この南会津では多分初めての試みになると思い、できるだけわかりやすく健康住宅を伝えられればと思いました。
 でも、「南山匠の会」の皆さんが予想以上に古くさい(笑)と言っては失礼ですけど、古くからの伝統工法に忠実で頑固だったので、思った以上にたいへんではなかったです(笑)。「現場でたばこを吸わないで!」には困った職人さんもいたと思いますけど。みんな本当に素直な職人さんばかりで、現場に行けば「これ、大丈夫ですか?」と使う予定の建材を鼻先に出してみたり、私はクンクンとニオイをかいで「大丈夫」とか「これダメ」とか。珍しい光景だったと思います。(笑)」

 

正面

(星)「工事現場には頻繁に来られていましたよね?」
(池谷)「そうですね。家を建てる施主としての基本と教わりましたので(笑)。自分が安心して暮らせる家を建てたいのに、基礎とか断熱とか見えない大事な部分すら確認しない人がいる?というのが私には不思議でしょうがない。たぶん一生で一番高い買い物なのに。
基礎打ちから引き渡しまで、いろいろと写真を撮りました。職人さんは邪魔だったと思いますけど、やはり施主が顔を出すと現場が引き締まりますよね。いい家を建ててください!よろしく!って、毎回言われれば手も抜けない(笑)結構、大切なことだと感じました。」

 

縁側写真

(星)「さて、ほのぼのハウスの外装についてはどうですか?」
(池谷)「とても気に入っています。転地療養に訪れた患者仲間達にも好評でした。都会に暮らす人々の間では「木の家」に暮らすのがステータスになってきていて、「チルチンびと」のような自然志向の家づくり雑誌や本が書店にたくさん並んでいます。それだけ安かろう悪かろうの建売住宅やTVコマーシャルなどでお馴染みのハウスメーカーが作る見た目は良くても、実際は合板とビニールクロスをボンドで固めたような(笑)シックハウスが社会問題になっているという事でしょうね。
 今回使った南山スギは昨年の冬のうちに伐採して約半年も自然乾燥をしてくれたので強いニオイもなく、仲間達も引き渡し後すぐに入室できてお風呂に入ったりのんびり過ごしたりできました。
 特にヒノキなど針葉樹は、化学物質過敏症の発症者にとって天然のニオイであっても症状を悪化させたりして敬遠されがちです。でも、広葉樹は床材や家具には使用できてもそれだけで家は建たない、というのが現状ですから、安全に製材された地域産のスギやマツなど針葉樹の天然のニオイを事前にどれだけ抜けるか?というのが健康住宅のポイントになります。
 特に気に入っているのが、アルプスの民家のような可愛らしい外観、ほのぼのした縁側とメイプルのようなやさしい甘い匂いの塗装剤(ウッドロングエコ)のエイジングされた色合いです。」

 

玄関表

玄関引き手 玄関内
(星)「玄関の引き手が苦労しました(笑)」
(池谷)「ごめんなさい(笑)せっかくなので天然の広葉樹が残された福島ならではの引き手にしたくて、無理して山から探してもらってありがとうございました。これもみんなに大好評です。でもみんな手前に引いて「開かない?」って(笑)横に引くんです、って一同大笑いでした。一般的には金物の既製品だから、オプションアイテムですよね。ガラスはすべてペアガラスを使っていただいているので、寒い日に外から帰ってきても玄関を開けるとほんのり暖かくてホッとします。」

 

点検戸

床下換気
「玄関には、床下にもぐれる点検口があって、水回りの点検などが簡単にできるのがうれしいですね。」
「驚いたのが床下換気のシステム。家の4面すべての基礎に引き戸タイプで間口いっぱいの換気窓がついていて、夏は開けて、冬は閉めればとても快適。高湿多雨、特に冬が厳しい南会津の伝統家屋らしい工夫ですね。」

 

1階居間

(星)「1階の居室は図面のイメージより思ったより広く感じますよね。」
(池谷)「8畳にキッチンと家事スペース3畳とがつながった11畳の部屋で、当初は間仕切りがない1ルームでしたよね。でも、ガスや料理のニオイが気になる発症者もいるだろうから、と引き戸の間仕切りを後付けで付けてもらいました。
私も思ったより広く満足しています。暖かいのが何よりもうれしいです。朝起きて外気温がマイナスでも室内は6度から10度くらいをキープしてくれるし、小さなガスストーブ一つでも、30分くらいで20度近く暖まる。12月からガス料金も大幅に値上げされたので、省エネ設計は本当に助かります。」

台所

(星)「キッチンはシンプルですね。」
(池谷)「はい、IKEAで購入したスケルトンタイプのキッチン(参考価格:約¥30,000/蛇口、ガステーブル別)を少し高さを切り詰めて使っています。シンクが小さいけど、水をためて洗えるのでエコです。
 化学物質過敏症だと、一般的な合板キッチンが臭くて使えません。建築材料は規制がありますけど、水回り建材や家具などはまだまだ低質の合板が使われています。」

洗面所

(池谷)「洗面所はTOTO製のシンク(参考価格:約¥25,000)ですが、下についていた洗面台はやはり合板だったので使わずに切り離して、無垢材で大工さんに台を作ってもらいました。」

風呂

(池谷)「お風呂はTOTO製1坪サイズのハーフユニットに無垢材で内装していただけて大満足です。予算的には窓無しのユニットバスかなぁ〜、なんて思っていたので。この風呂には、療養にきた発症者さん達は半身浴もできる大きなバスタブが大のお気に入りでした。
防水には、超越ウッドコート(飾一)という天然のガラス塗膜のコート剤を風呂や水回りの床に使いましたが、ニオイも無くきっちり水はじきしてくれています。ただ天然素材ですから、定期的な塗布メンテは必要でしょうね。長く大切に使っていきます。」

トイレ

(星)「お手洗いは、初めて取り付けしましたがコンポストタイプのトイレでしたね。」
(池谷)「はい、以前から興味のあったコンポストトイレ(参考価格:約¥280,000)を大阪の庭仕事広場から取り寄せてみました。
最初にベースとなる腐葉土やピートモスなど有用微生物が仕事をしてくれるトイレづくりに少し手間がかかりましたが、ニオイも少なく、EM菌なども利用しているため、患者仲間には「一番快適なのがトイレかも?」と言われたほどです。人数が多かったりするとキャパを超えてしまうのが難点ですが、廃棄物を水に流すより、きちんと無害化して土に還すほうが環境を守り続けられると感じています。山のトイレは最近このコンポストタイプが主流ですね。」

階段

(星)「2階は間仕切り無しの約17畳という広々としたロフトになりましたが、いかがですか?」
(池谷)「2階につづく階段も木の暖かさがあって、遊び盛りの3人息子達が転がり落ちたとしても安心です(笑)」

2階フロア

(池谷)「天井も高く、断熱材がきっちりと入った屋根は静かで暖かく、とても落ち着く空間です。寝ながら窓から眺める星空も大のお気に入り。子供達は望遠鏡を奪い合うように月や星を眺めるようになりました。
 間仕切りの多いと家も家庭内も風の通りを悪くしますし、3人の息子達に自然な形で独立心が芽生えるためにも広いロフトが理想的です。」
「冬の間は、みんなが一緒にほっこりしたりできるように2階にも大きめのコタツをおきました。息子達が横浜の友達が来てもみんなで雑魚寝してスキーに行ったりトランプしたりと、冬の南会津を満喫できるように布団もたくさんあります。何がなくても雪遊びだけで楽しめるようになればいいですね。私も存分に冬の会津を楽しんで過ごしたいと思います。」


(星)「トータルでは当初の予算を超えてしまいましたが、いかがですか?」
(池谷)「水回りの設備を入れて約700万円位になりましたね。最初はムリ言って建築予算500万円、設備含めて600万円でどうにか建てたい!、とかお願いしていましたけど、やはり建てるなら快適な家がいいし、エネルギーコストやメンテナンスのしやすさ等,長い目でみたコストもふまえた上で納得しています。
特に断熱材や窓、給湯設備など多少予算が膨らんでも、たぶん、数年でもとが取れると思います(笑)省エネとエコロジー感が重要なポイントでしょう。
来春からは、自然エネルギーも導入したいし、車庫や納屋、小さな畑などを家のまわりにつくっていきたいと考えています。素敵で暖かな家を本当にリーズナブルな費用で建てていただいてありがとうございました。」

夏の木陰

(星)「5月のゴールデンウィークが開けた頃に南会津は雪解けして遅い春が訪れます。桜が咲き、たくさんの花々が山に畑に咲き乱れる頃が楽しみですね。」
(池谷)「そうですね。今年を考えると5月の中旬が桜の見頃だったかな。ぜひみんなで花見をしましょうね。(笑)
木々の緑がどんどん深くなっていくのが本当に美しいです。南会津は特に広葉樹が多くて、秋の紅葉は誰もが知るほどに最高ですけど、春から夏にかけての森、山の美しさが私は大好きです。このほのぼのハウスは、訪れる友人達の誰もがほのぼのとヒナタボッコして、美味しい食事とお酒と会話で癒されて、喜んで都会に帰っていきます。「絶対また来るからよろしく!」とか「南会津に移住しようかなぁ」と、誰もがこの地の空気の美味しさや星空の魅力、時間がゆっくりと過ぎていく中で、鳥のさえずり、木々のざわめき、風の音、都会で生きているとまったく気づかずに忘れてしまった、本当に大切な事を思い出させてくれるみたい、と感じてくれます。私はそれが南会津の一番の魅力だと思います。目に見えないものの価値、それがこの町の宝だと。素敵な家を建てていただいてありがとうございました。感謝です。」

 

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